シンポジウム

シンポジウム「日常会話コーパス」IV



プログラム

10:00-10:05 開会挨拶
10:05-10:45 口頭発表1 小磯花絵(国語研究所)
      「『日本語日常会話コーパス』モニター公開版 −話し言葉研究の展開−」
10:45-11:25 口頭発表2 遠藤智子(成蹊大学)
      「参与構造の類型について:日常会話コーパスを用いたボトムアップのアプローチ」
11:25-12:05 口頭発表3 田中祐輔(東洋大学)
      「日本語教育からみた『日本語日常会話コーパス』と『昭和話し言葉コーパス』
       ―オラリティにまつわる言語資源の活用―」
13:05-14:05 ポスター発表A・デモンストレーション
14:05-15:05 ポスター発表B・デモンストレーション
15:20-16:00 口頭発表4 入江さやか・金明哲(同志社大学)
      「コーパスを用いた仮定形における音韻融合使用と印象評定に関する研究」
16:00-16:40 口頭発表5 鈴木亮子(慶應義塾大学)
      「反応表現のさまざまな姿」
16:40-17:00 総合討論

ポスター発表 セッションA  ※仮タイトルを含みます
 服部 匡 「終助詞ワについて」
 杉浦秀行 「物語りの受け手間の視線と身体の調整:語り手への相互行為的配慮」
 山崎 誠 「『日本語日常会話コーパス』モニター公開版における終助詞
        ―話者と会話の属性に着目して―」
 清水まさ子「異なるジャンルにおける引用表現の出現傾向」
 安井永子 「家族の会話における大人と子どものやり取りー子どもによる大人の会話への介入ー」
 丸山岳彦 「『昭和話し言葉コーパス』の構築(3):その進捗状況と問題点」
 山口昌也 「『日本語日常会話コーパス』活用環境を用いた検索と閲覧」
 秦かおり 「「普通にすること」というメタ・フレーム-データ収集場面における親子の会話を解読する」
 川端良子 「会話における条件表現「たら」「と」の選択要因について」
 河野礼実 「「日常会話コーパス」における対称詞の使用実態」
 増田将伸・横森大輔「言葉の読み上げによる参与構造の創発―授業内グループワークの事例から―」

ポスター発表 セッションB ※仮タイトルを含みます
 佐野真一郎「ピッチレンジと言語外的要因
        ー昭和話し言葉コーパス・日本語話し言葉コーパスを用いてー」
 柏野和佳子「日常会話の自称詞と小説会話の自称詞」
 横森大輔 「日英語の反応発話における韻律バリエーションと参与地位:
       「ほんと(に)/Really」を例に」
 宮嵜由美 「流動する関係性と属性:LINEデータベースからの報告」
 野口芙美 「否定応答詞使用における男女差の変容ー20年前と比較して」
 坂井田瑠衣「身体動作による参与構造の組織」
 黒嶋智美・早野薫「日本語における「オッケーオッケー」の相互行為的機能」
 伝康晴・居關 友里子「日常場面における間接アドレス発話」
 石本祐一・小磯花絵「『日本語日常会話コーパス』から見える日常会話音声の韻律的特徴」
 天谷晴香・田中弥生「マルチアクティビティに伴う発話の分類:修辞ユニット分析の手法を用いて」
 居關友里子・門田圭祐・伝康晴「談話行為情報から見る会話データの性質」

デモンストレーション 
『日本語日常会話コーパス』モニター公開版のデモンストレーションを行います。 公開対象となるのは、50時間分の会話の映像・音声・転記テキスト・短単位情報・検索システム(映像再生機能付き)です。デモンストレーションでは、検索システムなどを利用して会話映像を視聴することができます。コーパスの詳細は 【こちら】をご覧ください。

口頭発表の要旨

小磯花絵(国語研究所)
「『日本語日常会話コーパス』モニター公開版 −話し言葉研究の展開−」

プロジェクトでは200時間規模の『日本語日常会話コーパス』(CEJC)の構築を進めている。CEJC の特徴は、1)日常場面の中で自然に生じる会話を対象とすること、2)多様な場面の会話をバランスよく集めること、3)映像まで含めて収録・公開することである。2021年度末に予定している本公開に先立ち,コーパスの利用可能性を把握するために,2018年12月に50時間分の会話データをモニター公開した。発表では、まずCEJCモニター公開版がどのような種類の会話を収めているかを概観する。その上で、相手との関係性とスピーチスタイルとの関係の分析などを通して、CEJCを用いることによってどのような話し言葉研究の可能性が広がるかを論じる。


遠藤智子(成蹊大学)
「参与構造の類型について:日常会話コーパスを用いたボトムアップのアプローチ」

参与者が相互行為において担う役割に関しては、社会学者であるGoffman(1981)の産出フォーマットと参与枠組みについての議論や心理言語学者Clark(1996)による整理がよく知られている。これに対し、Levinson(1988)は直示表現との関連において言語学の枠組みの中にGoffmanの議論を位置づけようと試み、発話の受け取りと産出のそれぞれに関してパラメータを立て、より精緻化・細分化された役割を提案した。本発表では、まずLevinson(1987)の議論を概観し、その目指したところを確認する。そのうえで、本プロジェクト(『会話における創発的参与構造の解明と類型化』)が日常会話コーパスのデータを主に用いて行ってきたマルチモーダル会話分析を紹介し、参与構造の類型に対するボトムアップのアプローチが何を明らかにするかを論じる。


田中祐輔(東洋大学)
「日本語教育からみた『日本語日常会話コーパス』と『昭和話し言葉コーパス』
 ―オラリティにまつわる言語資源の活用―」

本発表では、戦後発行された主要日本語教科書21種の語彙的特徴を述べた上で、日本語による日常会話200時間分をコーパス化する『日本語日常会話コーパス』と、昭和20年代から30年代にかけて録音された話し言葉を50時間分コーパス化する『昭和話し言葉コーパス』を、オラリティにまつわる言語資源として日本語教育の視点から分析し、戦後発行の日本語教科書の語彙的特徴と現代の話し言葉の実態との異同を考察することで、現代の話し言葉の実態とその変容が、日本語教育でどこまで捉えられてきたかについて明らかにする。その上で、話し言葉をめぐるコーパス研究が日本語教育研究分野の学説史の中でどのように位置付けられ、どのような意義があるのかを述べる。


入江さやか・金明哲(同志社大学)
「コーパスを用いた仮定形における音韻融合使用と印象評定に関する研究」

音韻融合とは,二つ以上の単位が音の転訛などによって一つになったもので,話し言葉に見られる特徴である。本研究では,『名大会話コーパス』『日本語話し言葉コーパス(CSJ)』『日本語日常会話コーパスモニター公開版(CEJC)』を用いて,コーパス別に見た音韻融合形の使用状況,さらに,年代別・性別においてどのような差が見られるかを計量的に明らかにする。また,『CSJ』に付与されている各講演がどのような印象を与えるかを記録した印象評定データを用いて,音韻融合形使用が発話スタイルの印象評定とどのような関係にあるかについての分析結果を述べる。


鈴木亮子(慶應義塾大学)
「反応表現のさまざまな姿」

日常会話において、私たちは相手の言うことに様々な反応を示し会話を進めていく。言語表現に目をやると、「へー」「そうかー」などの既存の反応表現が日本語には豊富に存在することが知られ実際によく使われている。その中には「だよね」など、後から使われ始め定着したと思われる表現がある。また、特定の形式だけではなく、会話の中で創発してその場で消えるものもある。さらに相手の発話との共鳴(Du Bois 2014)が頻繁に起こることも、反応の重要な側面である。本発表では、日常会話コーパスを使って、特に相手の発話への反応として発せられる確認要求発話とそれに対する応答に着目して構造・機能上の特徴を探る。